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気象・気候に関する学識と技術で地域の産業発展に貢献いたします。

 本ページをご覧いただき、誠にありがとうございます。2010年9月に熊本大学から広島工業大学環境学部地球環境学科に赴任いたしました。
 広島県は気象庁の管区区分では大阪管区・気象学会関西支部というように、気象の中では関西地区の西端になります。広島県の西隣の山口県は、福岡管区・気象学会西部支部に属し、気象の中では九州地区に入ります。このような背景もあって、広島県内で気象学を専門とする研究者が他県と比べて極めて少ない現状にあります。(たとえば、広島大学には2010年度現在、気象学分野の研究室はないと伺っております)
 本学に赴任して、日がまだ浅く、広島地域の産業界の現状につきましてはまだまだ勉強中ではございますが、これまでの研究・教育活動で培ってきた学識と技術を利活用し、地域の安全・発展に貢献したく存じます。
 地域の皆様にお役に立てることであれば、可能な限りご相談に応じさせていただきたく存じますので、気軽にご連絡下さい。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

田中 健路

気象学・気候学はあらゆる分野と深く結びついています。

Image1.png 気象学は、大気における諸現象について、物理的・化学的な観点から科学的に解明することが学問としての中心領域になります。気象現象を解明し、予測をし、その成果を社会に広く普及して、社会の発展に貢献する過程の中で、様々な学術分野と共に発展して参りました。
 たとえば、現在行われている天気予報・地球温暖化予測は、世界でも有数の性能を誇るスーパーコンピュータが導入されており、今日の気象予報技術の発展は、情報技術・計算機技術の発展があってこそ成り立っています。情報通信技術の発展は、地上観測のネットワーク化を確立させ、リアルタイムの観測情報がパソコンや携帯電話など、多様な通信手段により入手することができるようになってきています。
 また、現在行われている気象観測は、雨量計や風速計・気圧計などの1点観測用の機器のほかに、ドップラーレーダーやウィンドプロファイラなど電磁波の物理的な特性を利用して上空の降水粒子や風の状況を観測する機器、静止気象衛星をはじめとする人工衛星など、様々な機器によって行われております。
 屋外での建造物の建設・建築作業を伴う、土木・建築分野では、天候により施工スケジュールの調整が必要になったり、風力・波力・河川流量など、設計段階で気象現象を取り入れる必要があったりするなど、工学分野の中でも非常に深い結びつきがあります。
 天候の変化は、農作物の生育等に直接的に影響を与える一方、植生の分布が蒸発量や地表温度に影響を与えることで、その地域の気候に影響を与えるという点で、農業と気象・気候は切り離すことのできない関係にあることは自明であります。農作物以外にも、熱中症などの発症リスクなど、私たちの健康にも直接的・間接的に影響を与えています。 
 近年、気象・気候と社会との関わりが求められてきており、アメリカ気象学会では、専門分科会や専門誌が刊行されています。気候予測の成果が、温室効果ガスの排出削減の目標などの政策立案・施行に反映されております。また、災害時のリスクマネジメント手法を構築し、実践していく上で、気象現象に関する知識が不可欠であります。
 以上、述べた関わりはごく一部分であり、気象学・気候学は、あらゆる分野との間に接点があります。皆様のご専門の分野と新たな接点に気付いたとき、その接点から知識や技術を共有していく中で、イノベーションが進むと考えております。

気象をはじめ、河川・海洋・土壌環境の観測システムの設計・構築

Tibet-tower-1.jpgチベット高原上での観測タワーの設置作業風景

 これまで、国際観測プロジェクトのメンバーとして、チベット高原にて自動気象観測タワーの設置・メンテナンスに携わってきました。標高4,500m~5,000m以上の空気の薄い厳しい自然環境・重機が利用できない作業環境の中、ほぼ全ての作業を人力で行いました。

Ariake-Tower.jpgAriake_Data_Logger.jpgAriake_Docomo_Antenna.jpg

 国内では、有明海東部の熊本港(熊本県熊本市)北側の干潟域に、観測塔を設置し、干潟上の大気・土壌の熱環境に関する観測を行ってきました。総重量2tを超える塔本体は、スパイラル杭(大地の螺子:GTスパイラル社)で支えられており、干潟上の超軟弱地盤上で台風襲来時でも沈下や傾くことなく立っております。
 こちらの観測塔では、風向風速・気圧・降水・日射・地中温度・二酸化炭素濃度観測を行っていました。センサーからデータ回収装置までの配線の設計と接続、データ回収装置から携帯電話を使った送信まで、研究活動の一環として行って参りました。

 以上の事例はチベット高原や有明海干潟といった特徴的な条件のものですが、より地域にとって身近な事例として、文部科学省・安心安全科学技術プロジェクトのメンバーとして、都市域での内水氾濫の監視システムの設計・構築にも関わってきました。

Kosen-System-1.jpg

こちらのシステムでは、データ回収装置の筐体内にマイクロサーバを入れ、固定IPアドレスを取得して光インターネット回線を通じてFTPなどの通信プロトコルを使ってデータを送受信する形式です。専用線を引くことで非常時の携帯電話の通信回線の輻輳を避けられ、水位・雨量の観測データと共に Webカメラのリアルタイム映像を同時に受信可能であるというメリットがあります。

観測システムのメンテナンス・データの品質チェックから公開まで

Tibet-tower-3.jpgTibet-Tower-2.jpgTibet-database.jpg



並列計算機による大規模から局地規模の数値シミュレーション

 研究用途で世界的に幅広く用いられている気象予報モデル WRF (Weather Research and Forecast) を用いて、複数のCPU, コア, スレッドで構成される大型計算機の性能を活かし、計算領域が数1000km四方の大規模場から、数10km四方の局地気象の数値シミュレーションを行っています。
現業の予報に用いることが可能は十分な処理速度を持つスーパーコンピュータは備えてはおりませんが、複数のパソコンを用いて、並列計算処理を行うことで、単体の場合と比べて高い処理能力を持つようになります。
 気象予報モデル以外にも、海洋数値シミュレーションモデル(Princeton Ocean Model (POM), Regional Ocean Modelling System (ROMS))、流域水収支モデル(Soil and Water Assessment Tools)などの数値モデルの導入経験もあります。

Google Map (TM), Google Earth (TM) などの地図ツール上に可視化

 気象庁・国土交通省などの観測情報をGoogle Map (TM)などを使って表示するサンプルページを、安心・安全科学技術プロジェクトのページに掲載しています。定期的にデータを取得し、非対話型グラフ作成ツールで、バックグラウンド・ジョブとして、データ変換やグラフ描画処理を行っています。雨量などの時系列情報は、時系列グラフをポップアップで詳細表示できます。
 Google Earth (TM) のアニメーション操作機能とイメージの重ね合わせ(オーバーレイ機能)を使うことで、たとえば、集中豪雨発生時の降水強度分布の詳細を確かめやすくなります。2009年広島県庄原市で発生したときのレーダーの降水強度分布のアニメーションンをこちらで紹介します。

iPad, スマートフォンなどの最新システムへの対応

DSC00530.JPG2010年5月に国内で iPad が発売になり、電子書籍端末・スマートフォンなどの新たな多機能情報端末が普及し始めました。iPadを発売直後に入手し、利用方法やアプリ開発について少しずつではありますが、情報を集積しているところです。

DSC00532.JPGiPad 向けに開発されたアプリのうち、VNC (virtual network computing) と呼ばれるツールがあります。Windows側に VNC サーバをインストールしておけば、iPad用のVNCアプリを使って、Windows パソコンを遠隔操作することができます。iPadでVNCツールを起動して、ノートパソコンの画面を開いた状態の写真を右に掲載しています。

この機能を使えば、たとえば、パソコンをプロジェクタにつなげてスライドショーを行う場合に、iPadをリモコン替わりに使うことができます。収容定員が200名を超える大きな講義室では、後方に座っている学生にまで目が行き届きにくくなりがちです。iPadを使ってスライドショーを大きい講義室内で遠隔操作することで、後ろの学生のすぐそばの席に座って、受講生の目線で講義をすることができるようになり、授業態度の向上につながることが期待されます。

ICカード・カードリーダを使ったコミュニティバス運行システム

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気象予報士・防災士等の資格取得・継続教育・キャリアパスに関するご相談

 ゼミ担当教員の田中健路は、2008年に防災士、2009年に気象予報士の資格を取得をしており、気象予報士会・防災士会会員としての活動を進めております。
 気象予報士は、気象学に関する専門基礎知識・天気図・解析図の分析力、実況や予想される現象やその理由を的確、かつ、簡潔に記述する文章力さえ身につければ、取得できる資格であります。

共同研究に関するご相談

 以上ご紹介しました通り、気象・水文分野から環境・防災・情報技術に関連する内容に取り組んできております。また、新たな環境の中で、いろいろなチャレンジをしたいと考えております。そしてそのチャレンジが地域の皆様に貢献できるように努めて参ります。
 本ページに掲載した内容に興味を持っていただいた方で、取り組んでみたいテーマがございましたら、気軽にご相談下さい。
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