Kenji Tanaka Seminar's Web site (田中ゼミ) : Research

気象要因によって発生する潮位副振動(気象津波)に関する研究

気象津波 (Meteotsunami, Meteorological Tsunami) とは

Abiki.jpg鹿児島県甑島で発生した潮位副振動(2009/2/25) 鹿児島県薩摩川内市役所提供潮位副振動とは、気象要因や湾の形状などの様々な外力要因によって、天文潮汐や波浪とは異なる周期の海面の変動の総称です。潮位副振動の中でも、海上での突発的な気圧の変動や風の変化によって発生し、地震による津波と同様のメカニズムで沿岸に到達し、低地の浸水や堤防の損壊や養殖いけすの破損などの被害をもたらすものがあります。国際的には、これを meteotsunami (または Meteorologial Tsunami) (気象津波)と呼んでおり、国内外で研究が進められてきています。

破壊的な被害をもたらす気象津波は、地域によって様々な名称で呼ばれています。九州地方では、養殖いけすの網を引き裂く程強い流れを伴うことから、あびき(abiki)と呼ばれています。

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関連論文
Tanaka, K. (2010) Atmospheric pressure-wave around a cold front resulted in a meteotsunami in the East China Sea in February 2009, Natural Hazards and Earth System Sciences, vol. 10, issue 12, pp. 2599-2610.

水害に対するリスクマネジメントに関する研究

地域住民・行政との連携、学際的な連携により、災害時の安全と安心の確保をする。

top-image.jpgこれまで、台風や集中豪雨などの数々の気象災害に遭い、その度に多くの方々の尊い命が失われてきました。気象衛星やレーダー・ウィンドプロファイラなどの観測技術の発展や計算機性能・計算手法・データ処理技術の開発などにより、メッシュ予報や市町村単位の警報注意報の発表をはじめ、気象予報技術は格段の進歩を遂げてきています。

防災気象情報や水害ハザードマップ(浸水予想図)など、地域で発生しうる水害の情報が様々な形で提供されていますが、地域住民の方が必ずしもこれらを全て把握して災害に備えているとは限りません。市町村などから配布されたハザードマップの見方が判らなかったり、ハザードマップが配布されていること自体知らなかったりしており、行政と地域住民との間で十分に情報を共有できていない場合が多いでしょう。

本研究では、熊本市中心部に位置する壺川地区や熊本県山都町の中山間地を対象として、災害に備えるために地域住民の方が本当に必要としているものは何か、そのニーズに応えるために行政側が求められているものは何か、地域住民と行政のニーズに適うために、水害監視網や情報技術等を活用して、実践的な水害対策を行うことを目的として行っています。






関連論文
山本幸, 山田文彦, 柿本竜治, 田中健路, 藤見俊夫 (2010) 地域の防災ニーズを考慮した水害リスクマネジメントシステムの提案と有効性の検証, 土木計画学研究・論文集, vol. 27, No. 1, pp. 81-90.
Tanaka, K., Yamada, F., Kakimoto, R., Matsuo, K., and Ohmoto, T. (2009) Development of a community-based flood risk management system, Road Map Towards a Flood Risilient Urban Environment, the Final Conf. of the COST action C22 Urban Flood Management (in cooperation with UNESCO-IHP), 26-27 November 2009, UNESCO-HQ, Paris, France, I-A.6
ほか

熊本地域の水循環に関する研究

大気・表層・地下空間の水循環プロセスを結び、地下水を生活用とする熊本地域の水資源の将来を考える。

熊本市および周辺市町村からなる熊本都市圏は、飲用水の100%を地下水に依存しています。熊本地域の従来の地下水の循環システムの考え方として、地表から下の地下空間の水の移動プロセスが中心的に研究されてきていました。降水から蒸発を引いた水資源賦存量、河川流出・農業用水の流出入などが、地下水位の変動に大きな影響を与えており、大気・表層のプロセスを取り入れた研究が必要となっています。




関連論文
Tanaka, K., Funakoshi, Y., Hokamura, T. and Yamada, F. (2010) The role of the paddy rice in recharging urban groundwater in the Shira River basin, Paddy and Water Environment, doi-10.1007/s10333-010-0201-y.
ほか

九州地域の気象災害に関する調査

1998年台風18号, 2003年水俣豪雨, 2005年台風14号, 2006年九州南部集中豪雨 





関連論文
Tanaka, K., Funakoshi, Y., Hokamura, T. and Yamada, F. (2010) The role of the paddy rice in recharging urban groundwater in the Shira River basin, Paddy and Water Environment, doi-10.1007/s10333-010-0201-y.
ほか