GMTについて
GMT(the Generic Mapping Tool)は、ハワイ大学(アメリカ合衆国)で開発された汎用作図ツールで、地球科学分野の研究者・技術者の間で広く使われています。
GMTの主な特徴は
- 多様な座標系に対応:直交座標系・円筒座標系・時間軸や、メルカトル図法・円錐図法などの多様な地図投影に対応
- Postscript 形式による出力で、仕上がりが非常に綺麗
- 非対話型(コマンド入力型)の作図ツールで、スクリプトファイルを作成することで、大量の図を一度に作ることができる。
- Windows/Mac/Linux/BSDなど多様なOSに対応
- フリーウェアである。
などが挙げられます。対話型のグラフ作成ツールは、たとえば、Excelのグラフ作成機能のように、グラフの表示画面をクリックして詳細設定を行うものを指します。非対話型は、スクリプトを実行して、画像表示ソフトで表示しない限り、その結果を見ることができず、少し不便な点もありますが、バックグラウンドで自動処理を行うことができるという利点もあります。また、描画に必要な要素(軸の長さ、文字の大きさ、配置など)の詳細設定が対話型のグラフツールと比べて柔軟にできます。(その分、覚えるべき内容が多いという難点もありますが)。
ダウンロードとインストールについて
Winsows 版のインストール
ダウンロードからインストールまで
最新のバージョン (4.5.2)では、一般のWindows向けソフトと同じように、インストーラを取得して、インストールするようになっています。 GMT/Windows 版のダウンロードページに、インストーラのリンクが張られています。東海大学のミラーサイト(6番)から、
GMT_basic_install.exe :基本パッケージ
GSHHS_highfull_install.exe :海岸線データ
GMT_pdf_install.exe :pdf 文書
の3つのファイルをダウンロードし、インストーラを起動します。基本パッケージを最初にインストールし、残りをインストールしましょう。
インストール先のディレクトリは、C:\Program\GMT がデフォルトになっています。必要に応じて、ディレクトリを変更しましょう。
環境設定
コマンドライン操作で動かすために、システムの環境設定が必要になります。
1. スタートメニューからコントロールパネルを選び、「システム」アイコンをクリックする。
2. 「システムのプロパティ」ウィンドウが表示されるので、詳細設定タブを選び、その下にある「環境変数」ボタンをクリックする。
3. ユーザー環境変数で
GMT_SHAREDIR を追加し、値に C:\Programs\GMT\share を代入する
pathの値の末尾に ;C:\Programs\GMT\bin を追加する。; セミコロンを忘れずに付けること。
追加で入れておいた方が良いソフト
1. gswin32, gsview : 作図で出力される、ps 形式・eps形式のファイルを表示・操作するためのソフトです。ps, eps 形式から bmp, jpeg 形式への変換を行うときに必要になります。
2. cygwin : Windows 上の UNIX系OSのエミュレータ。シェルスクリプトを作成して動かす場合は必要不可欠です。Windows上で動かす場合、バッチファイルを作成すれば同様にできます。
3. テキストエディタ: xyzzy などフリーウェア・シェアウェアいろいろあります。
Linux 版のインストール
Linux版では、install_gmt というインストールファイルを取得します。インストールフォームのページに記載されている設定項目を選択し、GET PARAMETERS ボタンをクリックして、パラメータファイル(GMTparam.txt)を取得します。
パラメータファイルを取得したら、root権限で以下のコマンドを実行します。
sh install_gmt.sh GMTparam.txt
Linux 版では、NetCDF形式のデータを扱うため、NetCDFライブラリをインストールする必要があります。インストールされていない場合は、インストールフォームで、netCDFを追加インストールするようにしましょう。
また、GDALに関するサポートが開始されていますが、GDALが何か分からなければ、デフォルト設定(サポートツールをインストールしない)でいいでしょう。
インストールが完了したら、ユーザーの環境設定を行います。
tcsh の場合
setenv NETCDF (netcdf のインストール先)
setenv GMT (GMTのインストール先)
setenv PATH "$PATH:${GMT}/bin"
setenv MANPATH "$MANPATH:${GMT}/man"
bash の場合は、上のtcshの例の setenv を exportに変えるとよい。
NetCDFを Intel Compiler でインストールしている場合、GMTのインストール時にIntel Compiler のフルパスを入力する必要があります。gcc コンパイラを使うと、ライブラリのミスマッチが生じて、正常に動作しなくなります。